元は両親、春翔の三人家族。
父親は普通の会社員の役職持ち。母親は専業主婦。
しかし、その家族が崩壊したのは10年以上も前。
母親は春翔が小学生に上がる少し前に、ヴァンパイアによって闇落ちさせられてしまう。
母親の闇落ちにより感染し、春翔は寸での所である殲滅者の男性に助けられ、闇落ちせずにダンピールとして覚醒する。
我が子まで堕としてしまった事に母親は心が耐えきれず暴走した所を、結果的に春翔がその手に掛けている。
けれどその事実を、春翔を助けた殲滅者の男 ― 後の春翔の師匠は、父親に自分が手を掛けたと説明。
父親も致し方なかった状態をどうにか表面上は受け入れているが、それ以降必要以上は師匠に対しての接触は春翔越しに行われている。
それから表向きには事故として母を失ってから、父親の全国行脚の旅が始まる。
各地の殲滅者やダークネスに詳しい人物の元を訪れ、殲滅者には春翔に技術を、知識を持つ人物には知識を分け与えてもらうと言う、春翔を対ヴァンパイアの兵器として教育し始めた。その間、春翔が小学校六年生の時に訪れたのが咲宮家となる。
咲宮家と交友を持ったのは、全国の中でも最長の一年間。咲宮の老夫婦の知識が全国を巡った中で一番だったこと、そして春翔自身も咲宮姉妹に心を許していたのを父親も知っていたから、せめてもの休息にと思っていた様子。
春翔が中学に上がると、父親は十分に知識と基礎は得たと判断し、全国行脚の旅は終わりを告げる。
その際に現在の武蔵野市内に住居を定める。(※再度ここで父親は同社内で転居の少ない部署に異動している様子)そして春翔を助けた殲滅者を師事させ、彼に春翔を殲滅者としての相応しい、対ヴァンパイアの兵器として更に成長させようとしていた。
それもこれも父親は妻を奪ったヴァンパイアを心底憎んでおり、ただ一人生き残った春翔を利用してでも、彼らを殲滅してやろうと思っていた。
父親のその考えに春翔が気が付いたのは、中学二年。師である男性を師事している内に、彼からその考えを聞かされる。
薄々感づいてはいたのだが、父親に憎まれていると思った春翔は、それ以来父親と距離を置く様に立ち振る舞いを、口調を変えるようになる。
父親を憎んでいる訳ではない。家族が分断される前の優しい父を自分は覚えているからこそ、憎めない。家族に優しく、母を、そして自分を大切にしてくれていた父だからこそ春翔には父親を嫌う事も出来なかったからだ。父親の感情は当然の物と思っているが、自分もいつか闇落ちする身。そうすると、今度自分と共に堕ちるのは唯一の家族である父親。最愛の妻を失った彼を、この世で一番憎いヴァンパイアに堕とすなど酷な事はしたくなくて、彼との距離を離す事を決意した。
いつか自分も誰かを感染させ、堕とすのではないかと言う恐怖を内包しており、自分も気が付かない間に必要以上に親しい友人などを作る事を知らずに避け、武蔵坂学園に入学するまでは物静かな少年を演じていた。
しかし、咲宮姉妹との交流のみはその枠から外れ、春翔の人としての心の拠り所にもなっている。
※以下、簡単な補足
・春翔の丁寧口調は、必要以上に相手を怖がらせない為と、自分が闇落ちした際に感染させる相手を作る事を無意識に恐れて壁を作っている癖が残っている。殲滅者として武蔵坂学園に入学してからは、周囲に似た環境の者が増え、例え自分が闇落ちしても救ってくれる仲間がいる事に少しは後者の理由は消えつつあるが、苦笑が癖になりつつある所為でどうしても初対面相手には敬語が残ってしまう。
・春翔の父親は春翔の事をヴァンパイアとの対戦兵器として育ててはいるけれど、憎んでいる訳ではない。
妻を失って数年間は復讐ばかりに身を焦がし、春翔の事を顧みなかった為に向き合い方を忘れてしまった為に、どう接していいか分からなくなっているのが現状。
恐らく、春翔自身もそうなのだろうと思って入るので父親の義務は果たすが、それ以上の介入を止め、彼の師匠に代わりに春翔を支えてくれるように頼んでいる。
・春翔の師匠に関しては仔細を詰めている最中なので割愛。
ただし、年齢は現在30代後半の未婚の男性。彼もまたダンピールであり、春翔に日本刀を扱う戦術を初め、戦いにおける技術は全て彼に伝授している。
普段は自衛隊員で、実は咲宮家の祖父殿の知り合い。(この点に関しては背後の方から許可を得ています)
PR